〈わたしはそこに 誰もいない土からはえる〉
脇腹にきりこみをさいてそっと手紙を挿しこんであげる
時は地球にのびる手 わたしはそこに 誰もいない土からはえる
星は銀河のなかにおちてゆく
言葉は目。わたしは星の光につめたくなって立っている
手をつなぐな
地面にふりつもるあなたの指 音を記すな 皮膚を降らせよ
切りおとされた一本の足を星に捨てる
2016-08-26 麻井シキ